つい最近、古いハガキの整理をしていたら出て来た・・・アストロの
「閉店 売りつくしセール第二弾」です。
見れば２００２年１０月のこと。
あれから、ちょうど２０年の月日が経ったということで、
「もう」と言いますか、こっちもそれだけ歳をとった訳で、
何だか複雑な気持ちになりました（苦笑）
「アストロ（ASTRO）」という中古レコード屋さんは、
横浜駅から何分か歩いた場所にありました。
何人かの従業員がいて、一般的な普通のレコード屋さんです。
開店したばかりの時に行った記憶があるので、
おそらく開店したのは１９９６年か１９９７年頃
ではなかったかと思います。
オールジャンルの在庫があったようですが、初期の頃は、
どちらかというと専門店的な雰囲気があり、
１９５０年代から６０年代（主に昭和３０年代）に
日本で発売された、日本盤のコレクター品が多かったです。
これらが壁の上の方に沢山貼られていて、
それを見るのも楽しかった・・・ですが、
何とか買えないものかと考えてましたね（笑）
特に１９８０年代後半頃の、中古レコードが
異常に高価だった時代に比べれば、随分安い印象も
ありましたけれど、
壁に貼ってあったオールディーズの日本盤の
中古シングルの値段が１枚７千円以上・・・高いのは
数万円してましたから、
仮に７千円のドーナツ盤を買うにしても、
そうそう多くは買っていられませんよね。
ですから、壁に貼ってあったレコードで
探しているものがあった際には、
それがいつ売れてしまうかと、ヤキモキしながら
「何とか早く買いたい！」と思う訳です（苦笑）
でも店では、比較的新しいヒップホップのレコードも含め、
取扱の幅を色々広げていて、その度に、店内改装が
何度か行われていました。
１９９９年頃から、古い日本盤よりも、それらヒップホップ系の
新品レコードを多く扱うようになって来て、
私の買うような中古レコードの値段の付け方が２局化に
変わった気がしました。
つまり、日本盤のオールディーズや、ジャズ・ヴォーカルの
一部など、需要がありそうなものは、値段が結構高めに
ついているのですが、１９６０年代でも
一般的なサントラやムード音楽など（案外貴重なものも
ありましたが）は、相当に安い値段で出されるように
なったのです。
それを嗅ぎつけて買いまくっていたコレクター達がいたのも
知っていましたけれど、店の放出のタイミングと
上手く合えば、結構お得な買い物が出来て嬉しかったものでした。
そんな中に来た閉店の知らせ・・・このハガキでは、
１０月２７日の日曜日が最後になっていますけれど、
このハガキのすぐ後に封書の通知が来て、
同じ内容のお知らせだったものの、最終日の
日付は１０月２６日（土曜日）に訂正されていたのを覚えています。
その最終日の２日前、１０月２４日に横浜に用事があって、
帰りに店に寄り（持って帰れる位の重さで）中古レコードを
買いました。もうこれで、この店に来ることもないだろうと
思っていましたが、値段の８０％引きです・・・
また行こうかと迷っていた末、閉店の日の夕方になってから、
再度「アストロ」に行く決心をして家を出ました（苦笑）
電車で横浜駅まで行き、
本当に最後の日となった「アストロ」に着いたのは、
午後６時頃だったでしょうか。
日常の閉店は８時まででしたが、既にお客は誰もいなく、
店の照明は少し落としてあって薄暗く、
レジの奥で６人位の若い女性達がスナック菓子を食べながら、
おしゃべりに盛り上がっていました。
めぼしいものは、もう売れてしまっていて、
貴重盤の類は何もなかったと思いますが、
民族音楽やムード音楽系の日本盤ＬＰの多くの売値は
５００円、１０００円、１８００円の８割引ですから、
何だか救出のような意味で取り出し・・・
シングルは１枚のみで、色んなジャンルのＬＰレコードを
取り出しては抱えて行き・・・結構な重さになりました（苦笑）
レジの奥にいて、私の事など全然気にもせずに、
おしゃべりで盛り上がっている女性達に、
宅急便で送ってもらうことは出来るかどうか尋ねたら、
店の営業は今日で完全に終わりで、オーナーも来ることはなく、
明日は片付けの業者が来るだけなので対応出来ないと言われ、
手提げで持って帰れる分だけしか買えないことになりました。
今考えたら、ダンボールでも譲ってもらって、
近くのコンビニに宅急便として出せばよかったと思いましたけど（笑）
まぁそんなんで、手に持って
横浜駅まで歩いていかれるかな？と思うぐらいに、
実感調整しながら中古レコードを選び、
レジに持って行きました。
この時のレシート、ノートに貼ってありました。
ジャンルは色々でも、
全部「ＬＰ ROCK USED」になってます。
合計は、ＬＰが６０枚、ドーナツ盤が１枚・・・
これを持って横浜駅まで歩き、電車に乗って、
また駅から家まで歩いた訳ですが・・・結構大変だった
と思います（苦笑）
会計は、１０万５千９百円・・・を８割引、
消費税という悪法を加えて、２万２千２３９円。
現金払いです。
クレジットカードは使うつもりでないのに、
会計前に「店は今日で終わりなんで、カードは使えませんよ」
と言われ、もう現金しか扱えなくなっていたんでしょうね。
私が買い物中、客は誰も入って来ませんでしたし、
会計を済ませて帰る頃、女性達は帰り支度をしていたので、
多分、私が最後の客だったのではと思います・・・
レシートには、２００２年１０月２６日（土）、１９：０９の
印字があり・・・店を出たのは、これから１０分後位だと思います。
割と多く通っていた、思い出の中古レコード屋の一つ
「アストロ」の最後の日でした。
取っておいても仕方ないですが、２０年という月日に懐かしんでしまいました・・・
あぁ〜（笑）
© 2022 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)
