もう20年以上も、ずっと放り出してあった
78回転の類を録音しておこうと思い、
夜になると少しずつ洗浄しては、
ターンテーブルに乗せている次第です・・・
手元に来た時から、それらは、もう埃まみれで、
いくつかのラッカー盤などは、完全に砂埃だらけ、
カビも付いているような状態でした。
多少は入手時に拭いていると思うものの、
何枚かは袋から取り出した瞬間に『どっひゃ〜!』みたいな
声をあげてしまうような汚れ・・・(苦笑)
水道水で洗える状態の盤か、そうでないのかを
判断しながら、洗えるものは洗いました。
程度にもよりますが、音溝にクラック(割れ目)の
入っているのは、もう諦めるか、
どうしても稀少なのは「針が傷みそうだなぁ・・・」と
思いながらも録音するのですけれど、
何か色んなことを考えて、
複雑な気持ちになるのです(苦笑)
特に、ダイレクトに記録する録音盤(ラッカー盤)に関しては、
既に数十年という時間経過から来る材質の劣化、
そして今更、音を取り出して残す(共有する)価値があるのか・・・
その中でも、当時のキャピトル・レコードの人が
「バツ印を付けて傷つけた」録音盤が何枚かあり、
これを思い切って再生してみるかどうか・・・
傷つけられている音溝を見ながら、
夜中に、しばらく考え込んでいる私がいました(笑)
つまり、彼らがボツにした録音に(硬いものや、
黄色の色鉛筆のようなもので)傷を付けている訳です。
途中で録音が止まっているものもありますが、
一度、全部録音していて、曲名なども
手書きされている完成品で、
傷が付けられているということは、
何らかの理由があったと推測されますよね。
ちなみに、1950年代の映画の宣伝吹き込みの
録音などは、宣伝の期間が過ぎると、
傷を付けて廃棄されていたようで・・・・
何枚かの現物から知りました。
写真は、ベニー・グッドマン(Benny Goodman)による演奏の
「プッティン・オン・ザ・リッツ」(Puttin’ On The Ritz)
という曲が録音されたラッカー盤ですが、
ボツのための傷が付けられています。これは傷も縦線だけの少ない方で、
多くはバッテン印(エックス状が複数)になっています。
画像を加工して隠していますが、
中央にマスター番号とテイク番号が書かれています。
裏面にはキャピトル・ロゴのラベルが貼られています。
このベニー・グッドマンの演奏には、
1947年8月発売のSP盤4枚組アルバム
『Benny Goodman Rides Again』(BD-57) に収録があり、
この市販品SP盤のテイク番号までは分かりませんが、
マスター番号は同じであることを確認しました。
この録音は、他に1952年初頭に発売された10インチの
LPアルバム『Easy Does It!』(H-295)、
1953年に発売された10インチのLPアルバム
『The Goodman Touch』(H-441)、
そして、これを12インチ化した同タイトルのアルバム (T-441)
にもあり、これらは同じマスター番号とテイクだと思います。
手元のボツ録音として傷つけられた
ラッカー盤に書かれたテイク番号から、
この曲の録音には、既に複数のテイクがあったということを意味します。
製品としてのレコード(市販品)になった録音は、
そのいくつかのテイクの一つなので、
その市販品レコードのテイク番号が、この録音盤の
テイク番号と同じであれば、(私にとって)
手持ちの録音盤の音源は必要がなくなります・・・
けれど、この録音盤のテイクをボツにして、
別のテイクが製品のレコードに使われたのであれば、
それもキャピトルの人が傷を付けた意味として成り立ちます。
・・・ということで、もし、この録音盤のテイクが、
市販品レコードと違うテイクであれば、
稀少録音の作品ということになりますが・・・
実際にこれを録音してみたものの、
市販レコードとの聴き比べ確認をしていないので、
もうそのまま、幻にしておいた方が面白いのかと考えてました(笑)
録音盤を持っている私自身も知らない「謎」に・・・?!
ベニー・グッドマンといえば、何と言っても
【オーディオパークSP復刻盤シリーズ】が、一番のおすすめ!
ベニー・グッドマン(Benny Goodman)による演奏の
「プッティン・オン・ザ・リッツ」(Puttin’ On The Ritz)は
以下の復刻CDに収められていますが、現在は廃盤のようで、
中古品のみ出品されています。
© 2024 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)