戦前の映画パンフレット150冊の値段・・・そして、中古レコードの買い取り価格の現実。

一般

もう随分前の発売なんですけど、現在もテレビ東京で放映している
『開運!なんでも鑑定団』からの
『開運!なんでも鑑定団 Part3 〜 これからのお宝』という本があります。

テレビ番組は、始まった頃のしばらくの間しか観てなかったので、
ほとんど観てませんが、人気があるんでしょうね。
この本の中で、
「大事にとっておいた戦前の映画のパンフレットに思わぬ値段がついた」
という記事があり、最初に目についたので読んでみました。
SF映画の『キング・コング』、
チャップリンの『街の灯』のパンフレットなど、
150冊ほどが鑑定依頼品とのことで、
北原照久 氏が鑑定しています。
状態が良いとのことで、1冊の平均4千円、
全部で60万円という鑑定価格を出したとのこと。

ムード・ミュージックの定番は映画音楽ですから、
筆者も高校生から20歳代の頃は、
お気に入りの映画音楽があると、その映画のパンフレットを
探しに行ったものでした。
神保町、渋谷、新宿などの、いわゆる映画グッズ
(あるいは、パンフレット)専門店みたいな所や、
古くは伊勢佐木町通りの複数の古本屋、
オデオンビルの5階にあった「先生堂」なんかで
購入していましたけれど、
1960年代前半以前のものでは、
一冊で2〜3千円したのが多かったです。

8千円とか、万単位しているようなパンフレットは、
ビニール袋に入って、壁に飾られていたりもして、
買えずに眺めていたのもありましたね(笑)
もうその頃は、バブル期に入っていたことも
あったでしょうけれど、
今考えても凄い値段でした・・・ 

でもこの「モノの値段」というのは、
定価ではないので、値段を付ける人の感覚に過ぎないのです。
つまり、鑑定する人が「どのくらいで売れるか?」
という値段として判断したものが、
一般的につけられる(中古品の)値段ということになります。

上記の戦前の映画パンフレット150冊の価値が、
北原照久 氏によって60万円であると鑑定されても、
「60万円で買いたい」という人がいなければ、
一般的には60万円の価値があるとは言えないのですね・・・ 

本、レコード、CDなど、実際に売りに行ったことが
ある方なら、お分かりと思いますが、
店での売値と、買い取り価格とは、もの凄い開きがあります。

試しに、その映画パンフレット150冊を
どこかへ買い取りに出したところで、
60万円で買い取ってくれる所などないでしょう。
せいぜい5万円とか、ひょっとしたら、
何枚か抜き出されて「これをまとめて100円」とか、
「買い取り出来ない」と断られてしまうのが現実であると思います。

もう30年以上前の話ですが、
中古レコード屋の「オスカー」のオーナーから
聞いた話では、業界のスタンダードとして
「中古レコードの買い取りの価格は、売値の20分の1(つまり5%)」
と言っていました。
これに当てはめると、60万円で店に売るレコードならば、
店での買い取り価格は3万円になります・・・ 

筆者は約30年前に、
上記の本の中に出てくる鑑定人の店に、
コレクションのレコードを売りに行ったことがあります・・・が、
20分の1どころではなく・・・買い取りの値段は、
ドーナツ盤1枚で100円が最高値、
それ以外は50円以下、30円、20円とかでした。
いくつもの店に売りに行った経験がありますけれど、
どこも電車賃にすらならず、で
後悔したのを覚えています(苦笑)

数十円で仕入れて、数千円、
あるいはそれ以上で売るんですからね・・・
中古レコードの買い取りなんて、
現在も変わらぬ世界です。

そう言えば、やはり30年位前に、
映画のパンフレットを何軒かの古本屋に
持って行ったこともありましたが
「買い取り出来ない」と言われて、
結局、映画のパンフレットは
一度も売ったことがないです・・・
戦前のパンフレットではありませんが(苦笑)

筆者が持っている映画パンフレットの一部です・・・

© 2024 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)

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