中古レコードの値段の付け方に驚いた1990年代の体験と、復刻CDの値段・・・

一般

1980年代から続いた経済バブルは1991年頃に
崩壊したとは言っても、中古レコードの値段には関係なく、
景気に関係していた訳ではないようです。
当時も今も、基本的にはいくつかの要因から生まれる
「需要と供給」によって値段が決められている、と感じています。

1990年代中頃までは、まだインターネットも
普及しておらず、中古レコードを全般的に判断する材料が
ありませんから、とりあえずは
「店それぞれが付けた店頭の値段」を見て、
買うかどうか判断するしかありませんでした。

そして、東京都内に非常に多くの
「輸入中古レコード屋(輸入盤の中古レコードを扱う店)」が
誕生した時代でもあり、筆者も複数のお店を回って、
楽しんでいたものでした。

インターネットが普及していなかった代わりに、
昔の名盤、あるいは珍しいといった中古レコードは、
書籍や雑誌によって、情報が紹介されておりました。
自主制作のような冊子(Zine)などでも、
マニアックな中古レコードが紹介され、
それを求めて探す人も多かったはずです・・・ 

ただ、書籍や雑誌、冊子などで紹介されるということは
「特定の中古レコードの値段を高騰させる要因」にも
なっていました。筆者は、そのいくつかを体験しています。

例えば、1991年当時、筆者はある輸入中古レコード屋にて、
2800円で売られていた、知らないアーティストの
中古LPレコード(ここではタイトルAとします)が気になって、
購入してみたいと思っていました。
でも他に優先して欲しい中古レコードがあったので、
後回しにしていたんです・・・ 

ある日、その中古LPレコード(タイトルA)が、
「こんな奇妙で、珍しいレコードがあった!」といった感じの内容で、
雑誌に掲載紹介されました。
「タイトルA」があった店に行くと、もうありませんでした・・・ 
で、買っておけばよかった・・・と、残念に思いながら、
店内の中古レコードを見ていたら、DJふうの男性が入って来て、
雑誌を開いて店主に言いました。
「このレコードありませんか?」

店主は「ありますよ!」と、奥から持って来たのは、
その中古LPレコード(タイトルA)でした。
値段は6800円! 
筆者が見ていた2800円のものを
値札だけ変えたものだと思いました。

DJふうの男性は、レア盤をゲットできたと言いながら、
ゴキゲンで帰って行きました。そして、店主はもう一枚、
タイトルAをレコード棚に入れたので、
筆者が見に行くと9800円の値札になってました・・・あぁ。

なんかモヤモヤした気分で、他のレコードを見ていると、
また違うお客が、同じく雑誌を片手に入って来て、
店主に尋ね・・・「その棚にある」と言われ、
今さっき筆者が見た9800円のタイトルAをレジに持って行き、
買って行きました。

数日後、筆者がまたこの店に行くと、タイトルAは
壁の目立つ場所に貼ってありました。
値札は、12800円。
あぁ、まだこのタイトルAの在庫はあったのか・・・と思うものの、
2800円で置いてあった(傷などの状態は、ほぼ同じ)のを
見てますからね、気分的に買えないですよ(苦笑)

モヤモヤしているこの間でも、タイトルAを12800円で
買って行った客がいました。
その後、そのお店に行く度に、14800円、18000円、
22000円、24800円・・・と、売れる度に、
店主は値段を上げて行きました。

タイトルAの最後は26800円になっていたと記憶しています。
結局、筆者はタイトルAの買う機会を逃し、
実はまだ買ったことがないのです(苦笑)

中古レコードの値段に関して、この手の話は珍しくなく、
似たような事をいくつも見ていますが、
結局は「需要」に関連して、
売る側は、値段を上げて行くのだと実感しました。

では、筆者が制作している復刻CDの値段は・・・というと、
これは「売れるかどうか」に全く関係がありません(大苦笑)

企画番号の300番台辺りから、1500円を基準にして
いるのですが、中古レコードの相場とも関係がなく、
録音を用意するためにかかっている費用を基準に、
プラス・マイナスしています。

もちろん、曲数が多くなれば、著作物の(筆者側が支払う)使用料は
高くなりますが、それはあまり考慮していないです。
筆者は、レコード会社のように「売れる作品」に焦点を当てて、
なるべく多くの枚数を売ろうとするのではなく、
「録音の発見」をお楽しみいただきたいと考えているために
「売れる作品」としては、もともと選んでいないのです。

そして、珍しい録音を用意するために、
多くの費用がかかってしまった場合・・・なるべく安価にと思いながら
付けさせてもらっている値段・・・なので、
採算の「度外視」「論外」といった値段にしているタイトルがあります・・・
が、この手のものは、
きっと値段が「高い」と思われていることでしょう(笑)
しかし筆者側(制作者側)から見た解釈では、
もの凄くお得なタイトルなのです・・・ 

ただ、その録音の価値が分からない方にとっては
「高い」と判断されても仕方がない、と最近は思うようになりました。
なぜなら、インターネット上では、違法かどうかに関わらず、
膨大な音楽がタダ(無料)で聴けてしまう時代になったからです。

でも、録音という現物を資料と共に探し出し、
お手元にて、いつでも、お好きな時に
お楽しみいただけるようにするには、相当な時間と手間もかかって
おりますが、上記の「需要と供給による値段」でもありませんし、
タダ(無料)で聴けるインターネット上の環境と、
今後は同じには出来ないだろうと考えています。

© 2026 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)

コピーは御遠慮ください。