文化遺産(財産)と、商業の間で

普段、古いものに接して
色々なことを思い考えると、一体、今がいつ
なんだろうかと、混乱することがあります(苦笑)

何年か前、アメリカで活躍した日系2世の
音楽家Tak Sindo 先生の御身内から、
彼の復刻CDの制作依頼をいただいたものの、
結局は諸事上で完成することができませんでしたが、
Tak Sindo 先生の御子息達から(Tak Sindo 先生の)
奥様は、こう言われたそうです・・・
「そんな古い音楽なんか復刻して、興味を持つ人がいるの?」と。

まぁ、少なくとも私自身は興味を持って、
氏の音楽を研究していた訳ですが・・・
商業(ビジネス)として考えた時、採算を取るのは
難しいかも知れません。
でも、もう彼の資料や情報をまとまって持っている人が
いないんです。私自身も、ある日突然に
他界してしまったら、手持ちの資料や音源は
散逸してしまうでしょうね。
だから、後世の人々に分かるように、
他の作品も含め、色々残しておかなければ・・・という、
強迫観念にとらわれることがあります。

でも・・・その必要が本当にあるのかどうか。
今は動画サイトに無数にアップされている日本国内の
廃墟動画・・・数年前まで誰かが住んでいたであろう、
とても古い民家に住人がいなくなり、
人知れず、家財道具とともに朽ちて行く姿があります。
本当はそれでも良いのかも・・・と、
思いはしますが、せっかく私自身が
好きで探し当てて、時間と手間と費用をかけて、
パズルのように、当てはめながら揃えていった
音源や資料をどこかで役立てたいとの思いはあります・・・ 
そんなに大がかりな事は出来ませんけれども、
例え少しずつでも、何かして行かれたらと
考えていた年末でした。

アメリカのキャピトル・レコード(Capitol Records)の社章バッジ。
1960年代に使われていた実物です。