誰も欲しがらない、あるいは金銭的な利益を生まない「芸術や資料」の存在価値を考える

一般


随分昔ですが、こんな「おもちゃ」も流行りましたね。
1970年代後半・・・昭和としては52年頃でしょうか? 
私がよく覚えているものでは、
映画のスターウォーズのキャラクターが印刷された
ビニールが円錐形になっていて、
中にパチンコ玉が入っているもので、
当時、私の家には大量にありました。

東京から従姉妹が夏休みに遊びに来た時に、
持って来た気がするのですけれども、
ガチャガチャの景品でも、案外いろんな
キャラクターがあった覚えがあります。
でも、その時のものは手元に何も残ってません。
この手のもので残っているのは、
写真のこれが唯一です・・・ 
多分、流行った時よりも、少し後の時代だったのでは?
と思います。
 


この手のおもちゃの多くは、
円錐形の形をした中にパチンコ玉が入っていて、
底部の丸い穴から一部露出させた状態でした。
テーブルの上にノートなどを置き、それを傾けて滑らせ、遊びます。
私たちは、少し大きな板を使って、途中に障害物を置きながら、
誰が一番早く下に降りて行くかを競って
遊んだのを覚えています(笑)

写真にある『ドラえもん』のは、ビー玉を中にセットして
滑らせるようになっています。
でも当時、何で(最初の所有者として)入手したのか、
よく覚えていないのですが、
ずっとそのまま残してあった現物です・・・を
しばらく眺めていました。
 
昨年、とても奇妙な
自主制作のLPレコードを発見しました。
昭和20年代後半から30年代前半の頃の
ものではないかと思われる国内録音で、
誰も欲しがらないような内容に思いますが、
暖かいと申しますか、
素晴らしき良き念が込められた珍品なのです。

ただ、演奏者などの名前だけで、
録音場所などのデータが何も残されておらず、
演奏者のプロフィールなども含めた情報が揃えられたなら、
後世のために残して置きたいとも考えていますが・・・
日常的に、そのようなマニアックな
レコード現物や、当時資料に接していると、
本当に「後世に残す価値のある資料」なのか、
「今の私たちが共有し、楽しんで終わり」で良いのか・・・を
考える時がしばしばあります。

何でも効率化が求められる現在では
「話題性がなく、お金も生み出さないもの(作品、記録など)」は、
何の価値もなく、不要なものとされます・・・
私は個人ですけれど、
もし営利を目的とする企業であれば、
お金を生み出す価値のないモノを管理していても
仕方がない訳ですね。

それは、昔の作品を調べ、現物も調達しようと
試みている私が、よく直面する事態です。
レコード会社にも、現物資料どころか
マスター・テープもなく、
関係者の手元にも、資料さえ何も残っていない
ということは珍しくないことなのです。
でも、それらが実際に存在したからといって、
金銭的な利益がもたらされる訳でもない・・・
そして一般大衆には興味も持たれない・・・のですが、
作品資料としては残しておいた方がいいのでは?・・・
という主観的な判断をせざるを得ない
場合があります(笑)
 


写真にある『ドラえもん』の当時モノは、
私にとっては子供の頃から持っていたので、
思い出の一部ですけれど、
後に受け継ぐ人がいなければ、そのままゴミとして
消滅する・・・という上記のLPレコードにも
重なりますが、何でもとっておくという訳にも行かず、
判断のつかないものは「まぁ、いつか・・・」の
成り行きに任せる他ないようです(大苦笑)
 

この穴の部分にビー玉をはめ込んで、滑らして遊びます。

© 2023 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)

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