文献から考える情報の価値・・・

神田神保町の古書店街に行けば、
いろんな古本に出合えるというのを(多分テレビで)聞いて、
まだ20歳になったばかりの頃の私は、
シネラマ映画の音楽の情報を求めて行ってみました。

いくつかのお店で、「アメリカのシネラマ映画の
音楽について調べたいので、何か書かれた本はありませんか?」
ということを尋ねてみるものの、
店員さんから返って来る言葉は「書名は何ですか?」で、
書名が分らなければ答えようがないと言います。

だいたい私には何の本が過去に出版されているのかすら、
知らないのですから、書名なんて言える訳が無く、
わざわざ電車賃をかけて行ったのに、
1冊数千円もするような映画の薄いパンフレットを
「高いなぁ・・・」と思いながら、
2~3冊買って帰っただけでした(苦笑)

後にも色々ありましたが、
使っていたニフティーサーブのパソコン通信に
「海外データベース」というサービスがあるのを
知って、1995年頃に使い始めました。
電話代が3分10円、
ニフティーサーブの接続料が1分10円に加え、
国際回線使用料が1分40円、
検索記事に関係するリストを羅列させるのに70円、
各記事には300円(記事によって高いのもあった気がします)
かかりました。

今から考えたら、びっくりする程、
通信環境も遅い(悪い)ので、本当に数行の
文字情報を得て来るだけでも最低10分位・・・
1000円位はかかったのでは?と思います。
当時から考えたら、現在のネット環境は夢のようです(笑)

同じ頃に、アメリカの大きな図書館で、
専門の調査人を使った(記事の検索)サービスを
お願いしたこともありました。
ちょっとした記事(過去の新聞記事など)を探して
コピーして送ってもらうだけで、1つの記事で数万円・・・は、
かかりましたね(苦笑)

マニアックな内容であっても、
本当にちょっとした事を調べるだけで、
大変な手間と時間、そして費用をかけて情報収集を
していた訳です。ネットのない時代は、
現役(流通されている)の洋書一冊
取り寄せるだけでも大変な時代でした。

「どうやったら、欲しい情報を得る事ができるか?」
という事を色々考え、やってみて、
それで少しずつ経験を積み、成長しながら来たのが
現在の私です。

ホームページを開設してからは、
よく「何々について教えてください」という
マニアックな情報を求めるメールが来ました・・・
しかも匿名で。
調べて返信するだけでも(私の)時間を費やしますし、
昔は電話回線で繋いでいたので、
電話代と接続料金も(私の負担で)かかる訳です。
上記に書かせてもらったような
大変な思いをして得た情報を
例え一部分であっても、そのような方に返信することを
あなた様なら、どう思われますか? 

匿名で、誰だか分らない(名乗りもしない)方に、
返信して教えて差し上げても、
大抵は御礼の返信すらなく、2-3日中でも
返信出来なければ
「教えたくないなら、ホームページなど閉じろ!」等といった
暴言メールが届く程です。

「そんな人、本当にいるの?」と思われるかも
知れませんが、実際にはそんな人の方が多い位です(苦笑)
でも幸いな事に、
そういう人を見抜ければ、一切お付き合いをしないで済む
ことも学びました。最低限の礼儀も無く、
御自分だけが何か得られれば(得すれば)良いと考える人物と
交流を持ったところで、何の意味もありません。

文献情報を探す上でのこと、そして
その情報の扱い方など、文献を通しての総合的な意味で、
(読む人に)俯瞰した考えの説明をされている本があります。

『文献を探すための本』

『文献を探すための本』著者:斉藤孝・佐野眞・甲斐静子
(日本エディタースクール出版部)

私にとっては、もう既に理解・経験済みのことばかりですが、
とても有用であり、変わった視点で面白い内容のため、
御紹介させていただきました。
ただし、1989年4月に出されているため、
インターネットに関しての部分だけが抜けておりますけれど、
細かい所まで気が使われており、
「考え方」を知るには素晴らしい本であると思います。