何でもかんでも効率化が求められ、
日常生活は便利になったものの、
時として「昭和時代の心の豊かさ」を知っていると、
何か物足りない気がするものです(笑)
私にとっては、子供の頃の昭和50年代、
横浜市内の近所のレコード屋さんに行くと、世の中で
話題になっている楽曲のレコードが並んでいました。
でも、私は同じテレビから流れている楽曲であっても、
自分の聴きたい曲(演奏)のレコードが欲しくて、
店員さんに尋ねたりするも、
レコードとしては作られていないか、
マニアック過ぎて、店には無いような感じでした。
それであっても、多くの作品の中から、
「自分が興味を持って選べる」という時間は、
音楽に限らず、食べ物や飲み物、ファッション、あるいは
ゲームなんかでも同じように、
誰もが「至福の時」であると私は思います。
ただ、そのプロセスが、効率化重視に変わってしまって、
何とも言えない心の物足りなさがあるように感じるのです・・・
それが、ひょっとしたら、
現在の若者にも伝わっていて、アナログ・レコードが
ブームになっているような事かも知れないと考えています。
アナログ・レコードを「選ぶ楽しみ」「探す楽しみ」、
アナログ・レコードで「コミュニケーションする楽しみ」、
そしてアナログ・レコードを「聴く楽しみ」・・・など、
人間として生きている時間の中の
プロセスを楽しむことを
無意識的にも感じ取られているのかも知れません。
アナログ・レコードに限ったことではなく、
パッケージのCDでも、紙の本や雑誌などでも同じように、
非効率な遊びではあるものの、
それが複数のプロセスを通した「心の豊かさ」に
つながる事であると、私は確信します。
子供向けの雑誌『テレビくん』などに、
珍しいアイデア商品が並べられた広告のページもあって、
そんなのをじっくり見ては、欲しいものを
探したりしていました。
で、ハガキにその欲しい商品の番号とかを
自分の住所氏名と共に書いて出し、
一週間後?位に業者から金額の書かれた振込み用紙などが
送られて来て、
それを郵便局の窓口に持って行って支払って、
またそれから一週間か二週間後位経ってから、
やっと商品が送られて来る・・・という感じ
だったと思いますが、
現在となっては信じられない程「ゆっくり」でしたね(苦笑)
それでも、その広告を眺めながら
商品をじっくり選ぶ時間、そして注文後に
商品が届くまで待っている時間も、
楽しみな「ひととき」です。
中古レコードを国内・海外問わず、
通信販売で購入するようになった時も、これに近かったです。
写真(上)のは、東京は池袋にあった輸入中古レコード屋さんの
『メモリーレコード店』の、通信販売の在庫カタログに
同封されてくる注文要領の1枚(一部分)です。
代金の振込み料と、送料を足しても、自宅からの交通費よりは安いため、
お店の場所によっては通信販売で取り寄せしていました。
ちなみに『メモリーレコード店』のカタログは、
タダ(無料)ではありません。
ジャンルによって多少違っていて、大体1ジャンル千円位?だったと
記憶してますが、違ったらすみません(苦笑)
海外(アメリカと、ヨーロッパ)は、
最初、カタログを発行している中古レコード屋から、
カタログを送ってもらう方法で始めました。
中古レコード屋によっては、音楽関係の洋書の中に、
店の広告を出している所もありましたので、
その店の住所宛てにカタログを送って欲しいと手紙
(エアメール)を書きます。
カタログが有料(送料込みで)な店と、無料の店とがありました。
お店によってもカタログのスタイルは色々でしたが、
一般的には文字情報しか載ってません。
例えば、LPレコードなら、タイトル、レコード・レーベルと番号、
アーティスト、そして値段です。
シングル(ドーナツ、SP)盤なら、曲名とアーティストに、
レコード・レーベルと番号、値段ですね。
LPレコードのタイトルや、シングル盤の曲名はともかく、
知らないアーティスト名では、
一体どんな演奏(作品)なのかも分らず、
当時の私にとっては、試しに購入してみる・・・・ということを
やって、それぞれのマニアックなアーティストの作品に
実際に触れて、研究して行きました。
なので、この時に、たまたまでも「ハズレ」に当たると、
もうそのアーティストのレコードは買わない・・・
という経緯があります(苦笑)
海外からカタログが送られて来るのに
約1~2週間かかり、
カタログを私が見て、注文するまでに数日、
そして先方の中古レコード屋さんに(私からの)注文書が届くまでに
1~2週間、
そして、中古レコード屋さんが在庫の有無を私に知らせて来るまで
1~2週間かかります。
これだけ時間がかかるので、
珍しいレコードは大抵、売り切れ(在庫切れ)になって
しまうのですが、私のために在庫を保存してくれているレコードは
買わなければなりません。
それを買うために、今度は(当時、本局でしか扱いがなかったので)
郵便局の本局で郵便為替(手数料は当時千円位かかりました)を
買って送付し、その郵便為替と注文書が
先方の中古レコード屋に届くまでには約1~2週間、
さらに数日経って、
中古レコード屋が発送して届くまで1~2週間かかり、
これでやっと私は、注文で在庫があった分だけの
レコードを手にする訳です!
でも残念なことに、稀に送金しても
現物を送って来ないまま、音信不通になる店も
海外に限らず、大阪の店でも経験したことがあります。
郵便為替なので、もう泣き寝入りするしかありません・・・
海外から中古レコードを入手するのに、
こんな手続きと時間がかかったことを
御存知ない方は、びっくりされるでしょうね。
後に社会人になってから、郵便為替ではなく、
クレジットカードにての支払いに変えましたが、
海外の業者が相手ですから、
これはこれで特有の「トラブル」というものが
付きまといますが、そういったこともあると
割り切るしかないのかも知れません。
そんな紙のカタログと共に、
エアメールで交信した時代から、
国際ファックスで交信した時代を経て、
インターネット時代になってから、
交信のための経費は極端に少なくなり、
時間は大幅に短縮されました・・・が、
過去の色々な体験、経験をして感じた事を元に、
「作品選びの楽しさ」を提供させていただきたいと
思って開設したのが、現在の『懐的音館』でもあります(笑)
ここでは、文字情報だけのカタログではなく、
簡単でも作品に関する情報とともに、「試聴」が出来ます。
この「試聴」だけは、かつての私もインターネット時代になるまで
経験が出来なかったことです(笑)
これは音楽愛好者には最も有益になる情報で、
どんな作品なのかと想像する、楽しみのひとときが
感じられるものなのです(笑)
あなた様にとって、良き気分を満喫できるような
作品を見つけていただけたら幸いに思います。
© 2022 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)