ラジオから聴こえてくる音声・・・
つまり、聴覚だけを頼りに想像する空間って、不思議ですよね。
リスナーに語りかけて来るDJの声と、
その背景を含んだムード。そして音楽など・・・
今はパソコンやスマホで聴ける便利な「radiko(ラジコ)」などが
ありますけれど、もっと前はラジオで聴くのにも
チューニングが合わなかったり、電波の状態が悪かったりして、
案外大変だったのを経験されている方も多いと思います。
子供の頃に『学研の科学』という雑誌を
買ってもらっていた時期があり、付録に鉱石ラジオが
付いていたことが何度かありました。
それぞれスタイルは変えているので同じではなく、
自分でコイルを巻いて作った(比較的大きかった)ラジオは、
受信が良かったので、深夜に使って聴いてました。
英語のアナウンスがチンプンカンプンでも、
新鮮だったのを覚えていますから、多分、
在日米軍向けの「FEN」を聴いていたのではないかと推測してます。
洋楽ばかりで、ハワイアンのような
エキゾチックな音楽も、よくかかっていました。
鉱石ラジオから聴こえて来るのは、
曲名やアーティストも知らないし、
面白かったからと、リピートして聴くことも出来ない、
一期一会の音楽です。
そっと布団から抜け出して、両親から見えないタンスの影から、
未知の音楽を真夜中に、じっと静かに聴いていました・・・
時はずっと後の1998年頃だったか、
ある日、タク・シンド(日系二世のアメリカ人音楽家の
Tak Shindo)先生と、何かの用事で国際電話で
お話をさせてもらった時に、ラジオの話題があったんです。
私には1950年代のアメリカのラジオで流れた音声なんて、
聴く機会がないと・・・そうしたら、
タク・シンド先生のデビュー・アルバム『Mganga!』(1958年)が
当時アメリカのラジオで紹介された時の
録音をカセット・テープでくださったんです。
もう今は、カセット・デッキが無いので
確かめられませんが、確かハービー・マンのアルバムと
一緒に紹介されていました。
これが当時、ロサンゼルスかハリウッドで流れていた
ラジオ放送なのかと感激したのを覚えています(笑)
ちなみにカセット・テープのサイドAは、
エフエム東京のある番組にゲストとして出演された時の
録音が入っていました。
後にタク・シンド(Tak Shindo)先生が亡くなられて、
オーディオパークにて復刻CDの企画があった時、
私がタク・シンド先生からいただいている資料はコピーなので、
新聞記事の写真などはオリジナルを使いたいと、
奥様に尋ねたところ、御子息たちがみんな荷物を廃棄して
しまったらしく、多分探しても無いとのことでした・・・
ということは、私の手元にあるカセット・テープの
ラジオ音源・・・エフエム東京の音源はともかく、
アメリカのラジオ放送の録音なんて、
ひょっとしたら、もう唯一の現存なのかも・・・
なんて考えてしまいました(苦笑)
そういえば、こちらは確実に世界でも
唯一の現存ではないかと思っている、アメリカのラジオ音源を
最近、復刻CD『資料録音(23)』にて、
おすそ分けさせていただきました。
この時点で唯一ではなくなりましたが、1940年3月のものですから、
相当古い、ヴィンテージものです。
さらに、このCDには1960年の夏頃にアメリカ国内の
ラジオにて実際に流れていたであろう
コマーシャル音源も入っています。
もうこの辺のクラスの稀少音源になると、
本当に聴ける機会すら滅多に無いと思いますので、
聴ける時が「聴きどき」ですよ。
☆
私自身にとってのラジオのお宝音源といえば、
タク・シンド先生からいただいた数本のカセット・テープ以外に
3つ思い浮かびます。
一つは、声優の神谷明さんが私の名前を読み上げてくださった時の
カセット・テープ録音。エフエム東京の番組でプレゼント企画に
応募し、当選してCDプレーヤーをいただきました。
二つ目は、同じくエフエム東京のオンエアーから、
山下達郎さんの番組で、山下達郎さん御自身が、私を
紹介してくださった時の録音。私は全く存じ上げないで、
番組のファンの方が録音を送ってくださり、
初めて知ったという驚愕の録音でした(笑)
その方達と山下達郎さんには、今でも
本当にありがたく感謝しています。
そして三つ目は、その後にも、山下達郎さんが再度、
私を紹介してくださった時のもの。その時のは、
自分で録音しておりました。
3つとも、自分のことの録音ですから、
私自身にとってしか価値はないので、私が
この世にいる間だけの「お宝音源」ということに・・・・
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昭和レトロを感じる、ひと時のムード『資料録音(23)』人々の夢と思いの録音
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