高速で走り抜けるバイクのムード 〜 心に安らぎをもたらす体験型の瞑想?

音楽CD

『State Of Emotion – A Nu Breed Of Israeli Trance』
『感情の状態 〜 イスラエルのトランスミュージックの新たな潮流』

ムード・ミュージックによくある
“安らぎの音楽”とは、おそらく
対極にあるような音楽ですけれども、
これも実は同じような解釈で、
“安らぎをもたらす音楽”とされているそうです・・・

通販のAmazonでは取り扱っていないため、
紹介リンクは貼れませんでしたが、
2003年にイスラエルで発売されたCDです。

全部で9曲あります。
統一感があるため、通しで聴くと同じ作者(演奏者)
なのかと思いましたが、表記上は
複数の演者による「コンピレーション」となっています。

Saffi Connection、Quantum、Neo Logic、
Sideffect、D Groovy、Chemical Drive、
Echotek、Reflex などがクレジットされています。

筆者としては、随分長く聴き続けているほどで、
良質な作品として評価している一枚です。

イメージ的には、
「バイクで若者が猛スピードで疾走している場面」
のような、高速かつパワフルで、
迫力あるサウンドが特徴です。これは少なくても
1970年代以前の音楽にはないスタイルで、
リズム・パターンの複雑な重ね合わせに、
効果音などを入れています。

時々入る、重低音で素早く
ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダッ・・・・というような
アクセント的なリズムも面白く、
片足を付いて、バイクを急反転させる
ようなイメージの展開も、筆者には印象的でした。

表現のイメージから、車ではなく、単車・・・
大型のバイクを思わせるような印象を受けます。
トラック05では、バイクで走りながらの
格闘?のようなシーンになり、
男性のダメージ・ヴォイスが複数回入っています。

筆者の世代だと、仮面ライダーがバイクで走りながら、
ショッカーと戦っているような(古いですよね・・・笑)
イメージを持ちました。でも実際には、
何を表現しているのか分かりませんが・・・ 

音楽のジャンル分けは、あまり意味がないように
筆者は思っておりますけれど、
このCDは、
サイケデリック・トランスというジャンルで、
「安らぎの瞑想」ではなく、
「音のスピードとパワーで、脳と身体を極限まで引き上げ、
一気に無の境地(トランス)へ飛び込む」という、
非常にバイタリティに溢れた
「体験型の瞑想」であります。

つまり、最後は無の境地になり・・・
心の安らぎに繋がる・・・
「静かに心を落ち着かせる」のではなく、
「音の暴風雨に身を投じることで、
結果的に雑念を吹き飛ばす」という
アプローチです。

筆者の例えとして、「猛スピードのバイク」
という表現をしましたが、
猛スピードで走るバイクのような躍動感と
解放感・・・そのスピードの先にある
「風と一体になるような快感」こそが、
このジャンルの魅力としてあるようです。

古来のシャーマン(巫女や祈祷師)が、
太鼓の音に合わせて激しく踊り、
神や自然と一体化しようとした儀式(トランス・ダンス)
の「現代の電子音楽版」とも言えますね。

イスラエルは、厳格な社会規範や、
政治的・軍事的な緊迫感が日常的にあります。
若者たちにとっては、このような
激しいダンス・ミュージックなどで踊り、
聴くことが、ストレスや重圧から解放され、
現実を忘れて、一体感を得るための
貴重な居場所(精神的な安全地帯)として
機能してきたとされています・・・・

『State Of Emotion – A Nu Breed Of Israeli Trance』

掲載CDのデータ
タイトル:State Of Emotion – A Nu Breed Of Israeli Trance
レーベル:No Label Records
商品番号:NLR001CD
発売年:2003年
発売国:イスラエル

© 2026 磯崎英隆 (Hidetaka Isozaki)


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